これは珊瑚玉ですか?というほど艶やかなブライトレッド。
塩分を含む温泉水で育ったから海の記憶を持っているのでしょうか。
そう、これは焼津市の温泉旅館「蓬来荘」4代目女将 望月美佐さんが
開発したその名も「温泉美人トマト」です。
塩分を含んだ温泉水で育てるため、ミネラルが豊富。
女性に食べてほしい、体の中からキレイにしたいという
想いを込めて名づけました。
開発のきっかけは、3.11東日本大震災。
被災地で起きていることが他人事と思えず、温泉の新しい活用方法を
模索したのが始まりです。とは言え、農業はまったくの素人。
次々と立ちはだかる「前例がない」という高い壁を乗り越え、
構想から6年、2017年に出荷を始めました。
(詳細はBiz FOREST推進協議会 望月美佐プロフィール参照)
当初、無理だと言われた温泉水の農業活用ですが、
静岡大学農学部の協力を得ることで実現。同学で行っているのは
ポットを使ったDトレイシステムという養液栽培方法。
土だと根が広がりピンポイントで温泉水を与えるのが難しいのに対し、
ポットなら狙った所に供給でき、水分の管理もしやすくなります。
この方法で何種類かのトマトを試作し、比較的育てやすく、
高品質のデータがとれたフルティカと桃太郎ヨークの2種類を
温泉トマトの原種に決定したそうです。
Dトレイシステムによる養液栽培
高糖度のトマトは皮が硬いと聞いていましたが、
一粒かじってみるとそれほどでもなくプツリと弾力のある歯ごたえ。
トマト本来の青い香りが強い生命力を感じます。
そして広がる甘味と旨味の濃厚な味。
それもそのはず通常のトマトの糖度が4度ぐらいなのに対し、
温泉美人トマトは6~10度。
でも、トマトは甘いだけで酸味が少ないと味がぼやけてしまうらしく、
フルティカも元はそういう系のトマトらしいのですが、
温泉水の効果で酸味が加わり、濃厚な味わいになるのだそう。
水を絞り、温泉水を与えるという
過酷な環境に耐えたトマトだから力強い味になるんですね。
年配の方からは、昔食べた濃いトマトの味がすると言われるそうです。
これは中玉のフルティカを元にした「温泉美人トマト」
食べ方は何といっても生が一番ですが、
少し柔らかくなったらソースやジャムもオススメ。
温泉水に塩分が混じっているためトマト自体に味があり、
コンソメや塩コショウの味付けがいりません。
水も加えず、トマトだけを弱火にかけて煮れば
トマトからジュースが出て、剥がれた皮を取り除けば
それだけで濃厚なソースやジャムになります。
温泉美人トマトが買えるのは、静岡県下のスーパー田子重さんと、
浜松コストコの横にある週末みやたけマルシェさん。
または直接、蓬来荘へご連絡くださいとのこと。
現在、ネットショップの準備を進めているそうです。
温泉美人トマトを使ったスープレシピはこちらです。